iPhone ゲーム「かなぶん」の辞書について

つくる社の石原(@jishiha)です。

iPhone ゲーム「かなぶん」のアップデート版をリリースしました。今回のアップデートの目玉である、一新した辞書データについてご紹介します。

ちなみに、前回のアップデートのときにはデザインのリニューアルをおこない、その手法などをデザイナーの視点で

» iPhoneゲーム「かなぶん」のデザインについて

で紹介していますので、よろしかったらあわせてどうぞ。

NAIST-JDIC

これまで「かなぶん」は NAIST-JDIC という NAIST(奈良先端科学技術大学院大学)が公開している辞書データを使っていました。フリーで公開されているものの中では比較的充実している辞書データですが、もともとかな漢字変換用のものであるため、基本的な単語でも収録されていないことがありました。

AppStore のレビューで「かなぶん」は比較的好意的な評価をいただいているのですが、

itunes review

このように、簡単に言ってしまえば「辞書がショボくて残念」といった内容のものが多く、辞書データの充実が課題でした。

小学館「デジタル大辞泉」

実は「かなぶん」を開発した当初から、市販されている辞書のデータを使いたいと思っていました。

欧米に Scrabble という、アルファベットが書かれた駒を使って単語を作っていく定番のゲームがあるのですが、The Official Scrabble Players Dictionary という公式の専用辞書があります。

辞書であると同時に得点と認められる単語をリストしたルールブックでもあるのですが、「かなぶん」でもこのようなルールブックとしての辞書、それも誰もが知っている市販の辞書を採用したいと考えていました。

そして今回、小学館より「デジタル大辞泉」の辞書データを提供していただけることになり、かなぶんで得点可能な

  1. 1. 名詞
  2. 2. 2文字から8文字までの単語

に該当する読みの数が、約5万(47,411)から約15万(149,079)と約3倍になりました。

おそらくこれで「こんな単語もアウトですか?」といったことはなくなるだろうと思っています。

連携の話はびっくりするほどスムーズに決まり進んでいったのですが、ひとえに理解ある小学館の担当者の方々のおかげです。「デジタル大辞泉」のデータを使った「クロスワード」などのゲームができる 大辞泉GAME というアプリが出ていたので、理解していただける可能性は高いとは踏んでいたのですが、

  1. 1. 大辞泉編集部の Twitter アカウント @info_dai_jisen で API 連携を呼びかけているツイートを発見
  2. 2. DM で「かなぶん」との連携をお願いしたところ、すぐに返答があり、
  3. 3. 担当者の方はいま WWDC* に行っているので、後日まで待って欲しい

* アップルの開発者向けのイベント。サンフランシスコで毎年開かれ、重要な製品の発表はだいたいここで行われる。

と言われた時点で、かなり期待度は上がり、実際とんとん拍子に話が進んでいきました。

「デジタル大辞泉」アプリとの連携機能

「かなぶん」有料版(辞書データの更新は有料版だけです。無料版は引き続き NAIST-JDIC を使っていきます)をダウンロードする、あるいはすでに購入されているユーザーはアップデートするだけで辞書データは更新されますが、小学館から提供されている iPhone 用国語辞書「デジタル大辞泉」をインストールすれば、さらに「かなぶん」で得点した単語の意味を即座に調べることができるようになります。

得点した単語(読み)に「デジタル大辞泉」というボタンが付きます。クリックすると、

「デジタル大辞泉」アプリでその読みを調べることができます。

また、「デジタル大辞泉」で名詞に分類されている2文字〜8文字の単語はすべて「かなぶん」で得点可能な単語なので、高得点を狙うために「デジタル大辞泉」を研究するのもいいかもしれません。

» iTunes App Store で見つかる iPhone、iPod touch、iPad 対応 デジタル大辞泉

辞書のリニューアル記念で「かなぶん」は1月31日までセールをおこないます。よろしかったら、ぜひ遊んでみてください。

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